ピアノ協奏曲第21番ハ長調 3

二短調と同じように交響的な充実感も充分にあり、ウィーン時代のモーツァルトの熟達した筆の動きは、驚くべき確かさをも示しているのである。

オーケストラの編成が、あの最後の《ジュピター》交響曲とまったく同じであるということも、何か象徴的に感じられないではない。

なお、書きあげられたこの作品は、三月十日にウィーンのブルク劇場でモーツァルト自身によって初演されたが、この時のコンサートに列席していた父レオポルトは、その成功を涙とともに喜んだと伝えられている。

この作品が歓迎されたことをも思わせているが、しかし、この話を実際に立証し得る資料はない。

ピアノ協奏曲第21番ハ長調 2

この作品については、むしろ、音楽ファンの中のかなりの人たちが、あのリパッティの演奏に接したことによって特別の愛着をもつようになったといっても、あながち誤りではないように思われる。

カラヤンとの顔あわせによるその演奏は、たしかにひとつの貴重な記録であることもまちがいないが、それとともに、モーツァルトの音楽が何であるかを知り、そして考えさせてくれるほどの内容をもっているからである。

この作品は、短調による彼の最初のピアノ協奏曲となった二短調K四六六から、約一か月半ほどおくれて生みだされた。一七八五年三月初旬のことである。

前作の二短調協奏曲では、彼の音楽が、すでにある意味でロマンティックな世界に入っていたことを思わせているが、この作品でも、彼はそれを印象づけると同時に、対照的なハ長調という調性を選ぶことによって、かなりの解放感をもったピアニスティックな世界への接近をもみせている。

ピアノ協奏曲第21番ハ長調 1

作品そのものに充分な魅力があり、また、真の価値がなけれぼ意味ないことではあるが、ある演奏に接したことによって、ひとつの作品を知ったり、また、それへの愛着を増したりするということは、いろいろな次元においてあり得ることであろう。

ごく一般的なケースにしたがえば、映画のテーマ音楽風に使われたり、コマーシャルのBGMにされたことによってポピュラーになった例も、けっして少なくはない。

ハ長調K四六七の第二楽章といってわからなくても、映画『みじかくも美しく燃え』の音楽といえばすぐわかってしまう人があるというのも、その一例といってよいであろう。

映画そのものは、一九六七年にスウェーデンで制作されたものであったが、それは、かなり多くの人びとの心をとらえたにちがいない。
しかし、残念ながら、それによってこの協奏曲全体に対して愛情や理解をもつようになった人は、必ずしもすべてであったとは思えない。

ピアノ協奏曲第20番二短調 3

現在すべての面でトップを行く録音は、故クリフォード・カーゾンがベンジャミン・ブリテンの指揮で演奏したものである。
これのカプリングは変ロ長調K五九五であるが、これまた並ぶもののない名演奏である。

カーゾンが録音を好まず"モーツァルト弾き"といわれながら、これを含めて二枚しか残してくれなかったのは実に残念である。

これに続くものは、それぞれ録音があまり良くないが、クララ・ハスキルの遺産と、ルドルフ・フィルクスニー(ワルター指揮ニューヨーク・フィル)である。

ハスキルのは、まさに彼女の独特の世界であり、多くを語らず、ただ心より感ずるのみ、と教えられる。
フィルクスニーは当時まだ若く、ワルターの描き出す巨大な世界をそのまま受けとめて、自分のピアノに託しているような名演である。

ピアノ協奏曲第20番二短調 2

暗い低弦のうなりに始まるこの協奏曲は、両端楽章に地獄の深淵をのぞかせるような、恐ろしさを持っている。

これはウィーンの人たちにショックを与えるのに十分だった。
ごく一部の人にしかこの曲の偉大さはわからなかったであろうが、それ以上に一般の人々に与えた不快感のほうが大きく、「モーツァルトの音楽は難しい」という評判の立つ引きがねになってしまう。
そして没落への道につながっていってしまうのである。

そうした強烈な曲だけに、二十世紀に入ってモーツァルトが復活し始めたときに、ピアノ協奏曲の中で最も着目されたとしても当然であろう。
すでに戦前からブルーノ・ワルターやシュナーベルらが、好んでこの協奏曲を手がけていた。
それらは音質が悪くても、歴史の一時期を代表する名演奏の録音となって残っている。

名曲であるだけに、無数の録音があり、大会社が大々的に宣伝しているものもあるが、真に成熟した演奏とその録音というものが、それほどざくざくこの世に現われるわけではない。

ピアノ協奏曲第20番二短調 1

モーツァルトがザルツブルクの大司教と二度目の衝突を起こし、ウィーンで独立したのは二十五歳の一七八一年のことである。

その頃のモーツァルトは天才ピアニストとしてウィーンでもてはやされ、あちこちの貴族の邸に招かれて演奏したり、弟子がいろいろできたりして生活は裕福だった。

モーツァルトはそうした音楽会で弾くために、明るく、イージーリスニングで、人の耳に快いピアノ協奏曲を作っては発表していた。

ところが一七八五年の二月に発表したこの二短調のピアノ協奏曲で、彼は禁を破り"自分に真実な"音楽を書いてしまう。

ピアノ協奏曲第19番へ長調 3

作曲完成は一七八四年十二月十一日だから、もちろん戴冠式のために作曲した曲ではない。

この年はモーツァルトがピアノ協奏曲を六曲も作曲した年だが、その中ではもっとも充実した作品で、次の第二十番二短調K四六六への道を大きく切り開いたものとして注目される。

この協奏曲の演奏では、もう三十年も前のものになるが、R・ゼルキンがセル指揮コロンビア交響楽団と協演したものが断然すぐれている。

テンポ感がよく、表現に不明瞭なところがまったくなく、すべてが明快で澄み切っている。
この曲は古典的なさわやかさと明るさをもっているから、そうした直戴な演奏がもっとも好ましいと思う。

ピアノ協奏曲第19番へ長調 2

ここで演奏された曲目のうち、二曲のピアノ協奏曲は、第十九番へ長調K四五九と第こ十六番二長調K五三七であることはわかっている。

そして出版商のアンドレによれば、一七九四年最初に出版された時には二曲とも「戴冠式」と名付けられていたというが、現在では第二十六番だけにその名が残っている。

しかしモーツァルトがその時にこの協奏曲を選んだというのは、彼自身充実した作品だと自信をもっていたことや、この曲のもつ明るく華やかな楽想が戴冠式に集まった人々の気分にふさわしいものと思ったからとも推測される。

ピアノ協奏曲第19番へ長調 1

『慈悲深きお許しを得て、本日1790年10月15日金曜日に市立大劇場において、楽長モーツァルト氏が自分の利益のために大音楽会を催します。

〔第一部〕
モーツァルト氏の新しい大交響曲/シット夫人の歌うアリア/フォルテピアノ用の協奏曲楽長モーツァルト氏のオリジナルの作曲で、モーツァルト氏の演奏/チェカレルリ氏の歌うアリア
〔第二部〕
楽長モーツァルト氏のオリジナルの作曲による協奏曲/シット夫人とチェカレルリ氏の歌う二重唱/モーツァルト氏の即興演奏による幻想曲

交響曲開演は午前十一時』

これは一七九〇年に、新しく皇帝になったレオポルトニ世の戴冠式がドイツのフランクフルトで行なわれた折、モーツァルトが行なった自主演奏会を知らせる広告用のチラシである。

この時モーツァルトは、ウィーンからこの戴冠式に参列する音楽家の中に選ばれなかったために、個人としてフランクフルトに赴き、この演奏会を行なったのである。

ピアノ協奏曲第17番卜長調 3

この作品は、モーツァルトのピアノ協奏曲の中では、最も奔放な楽想の展開を思わせるもののひとつであり、そこには、いわば霊感の横溢を感じさせるものすらある。

しかも、それは、彼が5月に買いこんだムク鳥との生活を反映したものであり、彼が、この鳥を家族のごとくに愛したことが、その楽想の上にも生かされていると言われるユニークな一面をもった作品でもある。

しかし、いかにもモーツァルトらしさをたたえたこの協奏曲は、もちろん他にもすぐれた作品がいくつかあるからにはちがいないが、通常コンサートで取り上げられる機会は、意外なほど少ないし、それをレパートリーとしていないピアニストも、かなりあるように見うけられる。

レコーディングは、それなりに数はあるが、それらの中では、やはりアシュケナージの演奏に、最も魅かれる点が多い。
それに70年代初めのバレンボイムの演奏も忘れ難い。

カテゴリー

アーカイブ

2012:02 2012:01 2011:12 2011:11 2011:10 2011:09 2011:08 2011:07 2011:06 2011:05 2011:04 2011:03 2011:02 2011:01 2010:12 2010:11 2010:10 2010:09 2010:08 2010:07 2010:06 2010:05 2010:04 2010:03 2010:02 2010:01 2009:12 2009:10 2009:09 2009:08 2009:07 2009:06 2009:05 2009:03 2009:02

管理人のお気に入り

  • エクステリア 名古屋
  • 2010年度TOEX施工コンクール【全国大賞】受賞!! **ワイズギャラリー**は愛知県 名古屋・長久手・日進・尾張旭・瀬戸での外構・エクステリア・ガーデンのデザイン・設計・施工会社です。
医院 開業

医師の求人・転職がご希望なら、業界トップクラスのリクルートドクターズキャリアへ。医師専門で転職支援歴30年。常時10,000件以上の医師募集求人をご用意、専任のキャリアアドバイザーがあなたに合った厳選求人をご紹介し、転職を徹底サポートします。

バイク

中古バイクと新車バイクを全国のバイクショップから探すことができる「BIKET」は、新車&中古バイクの在庫検索サイトです。メーカーや価格、ショップ地域、ボディタイプ、排気量などから新車バイク&中古バイクが探せます。

防犯カメラ

iphoneでカメラ映像を見れる,激安防犯カメラ販売、監視カメラ販売。塚本無線はISO 9001・14001認証工場。防犯カメラを弊社は自己開発・製造販売をしています。遠隔監視システム、防犯カメラ監視システム、防犯録画システム。

バーチャルオフィス

バーチャルオフィス・イエローページは、バーチャルオフィス専門検索サイトです。月額数千円から東京都心にオフィスを構え、法人登記が可能に。東京都心の住所、電話番号で会社の信用もアップ!バーチャルオフィスならバーチャルオフィス・イエローページへ。

  • 湘南 不動産
  • 湘南エリア(藤沢・辻堂・茅ヶ崎・鎌倉)の不動産売買・賃貸情報!湘南の売買・賃貸物件はお任せ下さい。

ソーラーパネル

ソーラーパネル、シールドバッテリー、チャージコントローラーなどを高品質、低価格で販売しております。個人・法人問わず店舗経営されている方、卸販売も対応しておりますのでぜひお問合せ下さい!

経理 転職