横顔の死角 2
まれに、横顔に強い意志がこもっている人がいる。
バレリーナの彼女もそのひとりだった。
ではなぜ意志がこもるのか。
バレリーナは全身を使って心を表現する人。
正面顔で悲しい顔をするのではなく、横顔や斜め顔で悲しさも喜びも表現する。
そんなことを毎日やっていたら横顔の美しさが鍛えられて当然なのだ。
でも、たぶんそれだけではない。
授業中に教室をぐるっと見渡した時、彼女の横顔だけが、目に飛びこむことがよくあった。
美しさではなく、"気迫"のためだったと思う。
振り返れば、一般の生徒とバレエをやってる生徒は、忙しさも真剣みも人生経験も、子供と大人の差ぐらいあったのだ。
かわいそうと私たちが思った彼女は、すでに私たちよりも数倍大人になっていた。
あなたは自分の横顔を知っているだろうか。
表情も意志も出にくいからこそ、人間としての"質"みたいなものが、そこに出てしまうのです。
ああ頑張らなきゃ、本気を出さなきゃと思う時に、彼女の横顔が浮かぶのも、そのためかもしれない。