ピアノ協奏曲第19番へ長調 3
作曲完成は一七八四年十二月十一日だから、もちろん戴冠式のために作曲した曲ではない。
この年はモーツァルトがピアノ協奏曲を六曲も作曲した年だが、その中ではもっとも充実した作品で、次の第二十番二短調K四六六への道を大きく切り開いたものとして注目される。
この協奏曲の演奏では、もう三十年も前のものになるが、R・ゼルキンがセル指揮コロンビア交響楽団と協演したものが断然すぐれている。
テンポ感がよく、表現に不明瞭なところがまったくなく、すべてが明快で澄み切っている。
この曲は古典的なさわやかさと明るさをもっているから、そうした直戴な演奏がもっとも好ましいと思う。