ピアノ協奏曲第9番変ホ長調《ジュノーム》1
この協奏曲の第一楽章は、オーケストラの問いかけに独奏ピアノが答えるような形で開始される。
それがあまりにも自然にできているし、またそれを聴き慣れた現在の私たちの耳には何の不思議さも感じないのだが、じつはこのやり方は当時の古典派の協奏曲としては型破りの手法であったといえる。
というのは、古典派の協奏曲の第一楽章は、まず初めにオーケストラだけによる主題提示部があって、そのあと独奏楽器が加わってもう一度主題を提示する、いわゆる協奏風ソナタ形式に基づいているか、
独奏楽器が最初から出ることはない。
実際この他のモーツァルトの協奏曲はいずれもその定型に従っている。